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「数学は役に立つ/立たない」について思うこと
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メビウス変換で「無重力フライト」してきたぜ
だいぶ時間が経ってしまいましたが、2月に開催された HackDay 2016 で「ぬるぬる動くメビウス変換」を作った話と、その賞品として獲得した「無重力フライト体験」について書きます。
ぬるぬる動くメビウス変換
昨年の Open Hack Day 3では発泡スチロール製の「リーマン球面」を作りました。また今年も数学ネタでやろうということで複素友人の堀川くんを誘って、再び「リーマンズ」というチーム名で HackDay 2016 に参戦しました。
堀川くんは Pov-Ray でリーマン球面上のメビウス変換を可視化するアニメーションを作っていたので、これを物体として目に見えるようなものを作ったら面白いだろうと。前回と同じ球体を使っては面白くないので、今回は Gakkenワールド・アイ という球面ディスプレイを使うことにしました。
これ、液晶が球面になっているのではなく、球面のスクリーンに内臓のプロジェクターで映像を映すようになっているんです(なので安いし軽い)。いざモノを手に入れて、さてどうやってここに図形を投影するんだろうと悩んでいると、堀川くんはあっさりと「立体射影なんだからそのまま複素平面を映したらええんちゃいます?」と言うのです。
はっ!
製品自体が立体射影をやってくれてるんだから、複素平面を投影すればそのままリーマン球面として映し出される訳ですね! (詳しくはこちら → リーマン球面 - Wikipedia )
24時間の開発
引用: 強烈な個性のぶつかり合い!日本最大級ハッカソンを制したのは?|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
本番は2月13日〜14日。85チームがエントリーし、24時間でプロトタイプを開発して、直後に舞台で片っ端から90秒ずつプレゼン。上の写真は開発中に取材を受けたもので、テンパってるときに撮られたので「うるせーな、早くどっか行け」みたいな顔してます(態度悪くてごめんなさい)。
堀川くんが映像の部分を作り、僕は Leap Motion を使ってジェスチャーで球面を操作する部分を作りました。実際に想像した通りに動くようになるとなかなか興奮するものがありました。
そして本番!
引用:http://blog.sideriver.com/flick/2016/02/yahoo-hackday-2-82ae.html
僕らは85チームあるうちの7番手でした。もちろん観客や審査員に対してリーマン球面やメビウス変換を既知とは仮定できないので、90秒のプレゼンの中でちゃんと説明から入りました。リーマン球面上のメビウス変換を可視化し、手をグッと握ると楕円型/双曲型から放物型に退化して不動点が1点に潰れる様子をデモしました。
こちらが本番の動画です:
こちらはプレゼン後に展示スペースで撮影したものです:
https://twitter.com/taketo1024/status/698704721486356480
展示スペースには子供も何人か来て楽しんでくれました。大人は「これは何の役に立つの?」などとツマラヌこと聞いてくるのに対して、子供は純粋に作品を楽しんでくれるので良いですね。
まさかのゴールド賞
「ぬるぬる動くメビウス変換」、なんとゴールド賞を受賞してしまいました。そもそも賞を取ることは全く期待しておらず(むしろ賞狙いハッカソンへのアンチテーゼのつもりでやってた)、チーム名を呼ばれたときには大変驚きました。
審査員の一人である石黒浩先生からは、
「普通の人はこんなモン何の役に立つんだと思うかもしれませんが、数学がどんだけキレイかということが数学が人を惹きつける理由で、そこから普通の人では成しえない面白いものを見つけていくんだ」
と講評を頂きました。イイネ100回連打したくなります。
賞品はなんと日本宇宙フォーラムによる「簡易無重力実験」。これはテンション上がります。ちなみに「ゴールド」は2番手で、「グランプリ」は賞品がシリコンバレーツアーだったのですが、どう考えても無重力フライトのほうがアツい。
無重力フライト体験
という訳でハッカソンから3ヶ月後の5月14日、無重力フライト体験してきました!
飛行場は名古屋。午前中に説明を受けてから飛行服(?)に着替え、昼過ぎにいざ離陸。1回20秒ぐらいの無重力状態を2組で交代で計8回。急上昇中は 1.8G がかかり脳天の血がグワーッと引いていき、そこから一気にエンジンを切って放物落下させることで15秒ほど無重力状態になります。体が宙に浮く感覚は実に不思議で、クルクル回ってると自分がどこにいるのか分からなくなります。無重力状態が終わるとボテッと落ちます。
いやぁ、何とも得難い体験をさせてもらえました。人生、何か目標に向かって頑張るのも大事ですが、単に面白いと思うことを追求してたら全く予想もしてないところへ導かれるということもあるようです(?)
ちなみに一般の人でも申し込めば無重力フライト体験できるようです。金額については各自ご確認下さい → https://www.jsforum.or.jp/other/zerog.html
数学ハッカソン
ITを使って数学を表現するのはとても楽しいです。最近は Processing でジェネラティブアートを作っている方や、VRでζ関数の上を歩けるものを作っている方など色々と見かけるので、「数学ハッカソン」を開催したら盛り上がるんじゃないかと妄想しています。夏の終わりにでもやってみようかなと思うので、興味のある方はウォッチしててください。
それでは、また!