31歳からの数学修士

なぜ再び数学するのか

指数関数の「真の姿」

どうも、佐野です。昨日は「情報科学若手の会 冬の陣 2015」で「コードを書けば複素数がわかる」という発表をさせて頂きました。

こちらのイベントは初めて参加させて頂いたのですが、発表の内容はとても濃く幅広く、発表者も参加者も表現することを楽しんでいる感じで、企業主催の勉強会とはまた違ったエネルギーを感じてとても刺激になりました。

さて、前回の 自分で導く「オイラーの公式」 では「複素指数関数」を定義しましたが、今回はそれがどんな「形」をしているのか見てみましょう。

複素関数の形を見るとは?

複素関数の形はどうしたら見えるのでしょう。

実関数  y = f(x) であれば平面上に  xy 座標系をとることでグラフが描けますが、複素関数  w = f(z) の場合は  z, w がそれぞれ複素数(実2次元)なので、そのグラフは4次元になってしまい、普通の人には見ることができません。

そこで考え方を変えて、複素関数  w = f(z) を 「 z 平面から  w 平面への写像」と捉え、 z 平面(の一部)が  w 平面へどう移されるかを見ることでその写像の「形」を把握することにしましょう。

以前の 年末の大掃除と「代数学の基本定理」 では、複素2次関数  w = z^2 + z + 1 はこんな「形」になることを説明しました:

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(像が3次元になっているのは重なりが見えやすいように上下にずらしたためで、これをパシャッと潰したのが実際の像です)

 z 平面の円環が  w 平面では2回転のリボンへ移ります。「2回転」は  f が2次関数であることに対応しており、 z 平面の円環を内外へ広げていくと  w 平面のリボンもどんどん大きくなっていき、極限においては  w 平面全体を2重に覆う写像になるのでした。

それでは、この要領で「複素指数関数の形」を見てみましょう!

複素指数関数の形

複素指数関数は変数  z = x + iy に対し、

 e^z = e^x(cos y + i sin y)


で定義されるのでした。
特に  x = 0 つまり  z = iy の場合は、

 e^z = e^{iy} = cos y + i sin y


で、これは  z が虚軸上を動くとき  w = e^z y偏角として単位円上を動くことを意味しています。そこで z 平面上に長方形を取り、それが  w = e^z によってどう移るのか見てみましょう:

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なんということでしょう…長方形が円環に移っています!

 z が虚軸上を  0 から  2\pi i まで動くと、 w 1 から単位円上を一周して元に戻ります。この線分を実軸方向に  1 だけ動けば、 w 平面では円周が半径  e まで広がっていきます。

このまま長方形を右に伸ばしていけば、円環は外側にガーッと広がっていき、逆に左に伸ばしていくと円環の内側へとジリジリと接近してきます(しかし原点に触れることは決してありません)。

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この円環の広がり方は実数の指数関数そのものです。
なぜなら:

 |w| = |e^x| \cdot |cos y + i sin y| = e^x


だからです!

一方で、虚軸方向では  2 \pi i 周期で  w はぐるっと一周するので、長方形を虚軸方向に伸ばしていけば円環は何重にもぐるぐると重なっていきます。これを重なりが見えるように高さをつけると…

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螺旋になりました!

というわけで、  z 平面の長方形を平面全体を覆うように実軸・虚軸方向に広げていくと、螺旋はぐるぐると回りながら内外へと広がっていく…その極限は「原点だけに穴が空いていて、その回りで無限に広い螺旋が無限に重なっている」という感じになります。

雰囲気としてはこんな感じです:

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これが指数関数の「真の姿」です!

以上のグラフは Mac の標準ソフト Grapher で作りました。グラフファイルをアップロードしておいたので、Mac ユーザの方はダウンロードしてグリグリ動かしてみてください!

次回予告

オイラーの公式」は「指数関数が三角関数で書ける」ことを示すものでした。これを逆に解けば「三角関数は指数関数で書ける」ことになり、上と同じやり方で「複素三角関数の形」を見ることができます。

どんな形になるか想像できますか?それでは、また!